2024-12-03

若者文化の縮図「ゴロー」:時代を映した伝説の雑誌

1970年代から1980年代にかけて、「ゴロー」は単なる娯楽誌の枠を超え、若者文化を映し出す「時代の鏡」として重要な役割を果たしました。女性グラビア、漫画、新車情報など多彩なコンテンツを網羅し、当時の若者たちの価値観や流行を体現する存在でした。その中でも特に篠山紀信の「激写」シリーズは、被写体の個性を引き出す斬新な視点で注目を集め、社会の空気感や憧れを鮮やかに捉えた作品として高い評価を得ています。

「ゴロー」の代表的なエピソードの一つが、山口百恵の撮影です。1977年、彼女が絶頂の人気を誇る中、篠山紀信は時間の制約を乗り越えるために他誌との合同撮影を提案。山中湖を舞台に、1日で3誌分の撮影を行い、「ゴロー」用には夕日の中でボートに横たわる彼女を撮影しました。その表情は、篠山自身が「単に疲れていただけ」と冗談めかして語るも、完成した写真は男性誌らしい色気を漂わせ、伝説となりました。このエピソードは、アイドルの人気と写真家の創意工夫を象徴しています。

一方、「ゴロー」はその過激な内容から社会的批判を受け、販売禁止地域が発生するなどの困難にも直面しました。また、1980年代後半の雑誌市場の変化やバブル経済の崩壊により、次第に衰退。最終的には廃刊となりました。それでも、「ゴロー」が若者文化に与えた影響は深く、その精神は今なお漫画や写真集、編集ノウハウを通じて受け継がれています。

「ゴロー」は、一つの雑誌を超えた文化現象として、当時の若者文化や価値観を未来に伝える重要な存在でした。その歴史を振り返ることは、私たちの過去を見つめ直すとともに、次世代に引き継ぐべき文化の意義を考える契機となります。「ゴロー」が示した時代の縮図は、これからも人々の記憶に残り続けるでしょう。

【日本古書買取センターからのお知らせ】
読まなくなった古本や、過去に購入したDVD・CD・ゲームなどを有効活用しませんか?日本古書買取センターでは、簡単で便利な宅配買取サービスを提供しています。お手持ちの本を整理して、新しいスペースを作りましょう。ぜひこの機会にご利用ください。詳しくはこちら

関連記事