東宝特撮と円谷英二:面白エピソード
東宝特撮といえば、日本映画史に燦然と輝くジャンルであり、特撮の神様・円谷英二の存在なしには語れません。彼の手がけた作品には数々の伝説的エピソードがありますが、その舞台裏にはユーモラスな出来事も多くありました。東宝特撮の歴史を彩る面白いエピソードを紹介します。

1954年の『ゴジラ』において、最も印象的なのがゴジラの咆哮です。実は、この音は動物の鳴き声ではなく、コントラバスの弦をゴム製の手袋でこすって作られたものなのです。円谷英二は「怪獣の鳴き声は現実には存在しない音でなければならない」と考え、様々な実験を重ねた結果、このユニークな方法にたどり着きました。単なる効果音と思いきや、職人技と独創性が詰まった名演出だったのです。
特撮映画に欠かせないのが、ミニチュアセットの爆破シーン。円谷英二はリアリティを追求するため、実際の火薬を使用していました。しかし、その威力があまりに強すぎて、撮影所の天井が抜けそうになったことがあったとか。ある時は、スタッフが火薬の爆発に驚いて撮影を中断せざるを得なかったほどです。このようなこだわりの結果、今でも語り継がれる名シーンが生まれました。

そして初代ゴジラのスーツは、非常に重く、約100kgもあったと言われています。スーツアクターの中島春雄は、その重さに耐えながら演技を続けなければなりませんでした。特に撮影初期のスーツは密閉性が高く、中で呼吸が困難になり、演技中に倒れたこともあったとか。それでも中島はプロ意識を持って撮影を続け、結果的に「ゴジラらしい動き」を確立しました。
また、東宝特撮は大規模なセットや特殊効果を駆使する一方で、予算削減のために知恵を絞る必要もありました。たとえば、『モスラ対ゴジラ』では、モスラの幼虫がゴジラに糸を吐くシーンがありますが、実はこれ、消火器を使って撮影されていたのです。また、『宇宙大戦争』では、宇宙船のレーザー光線を表現するのに、単なる針金に光を当てていたこともありました。これらの工夫が、後の映画にも受け継がれ、特撮技術の進化につながっていきました。

さらに、円谷英二は、ユーモアのある人物でもありました。撮影現場では、彼自身がミニチュアセットの中に入り込んでスタッフを驚かせることもありました。また、『ウルトラQ』の制作時には、「これくらいの怪獣なら、俺がやる!」と冗談を言って、自ら怪獣の着ぐるみに入ろうとしたこともあったそうです。彼の遊び心が、作品にも反映され、観客を楽しませる要素となっていました。
東宝特撮と円谷英二には、数々のドラマや工夫が詰まっており、その舞台裏には思わず笑ってしまうエピソードも多く存在します。ゴジラの咆哮の誕生秘話やミニチュア爆破の苦労、さらには予算削減の工夫など、特撮映画の魅力は単なる映像技術だけではなく、それを生み出す人々の情熱やユーモアに支えられていたのです。これらのエピソードを知ることで、東宝特撮作品をより深く楽しめるのではないでしょうか。
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