トルストイの読み方:訳者の視点から
ロシア文学の巨人・トルストイ。その作品世界は重厚で哲学的、しかも人間の心の奥底に迫るような力を持っています。けれど、いざ読もうと思うと、「どれを選べばいいの?」「分厚すぎて読みきれるか不安…」とためらってしまう方も多いのではないでしょうか。そんなときに注目したいのが、翻訳者の個性です。
トルストイ作品の日本語訳には、時代ごとに評価の高い「名翻訳家」が存在します。どの訳を読むかで、まったく違う読書体験になるほどです。ここでは、代表的な3人の翻訳者をご紹介します。
🔹 中村 白葉(なかむら はくよう)
代表訳書:『戦争と平和』『アンナ・カレーニナ』
昭和初期に活躍した先駆的存在。文語体をベースにした格調高い訳文は、現代の感覚からするとやや堅苦しくも感じられますが、逆に“古典を読んでいる”という感慨にひたれるという魅力があります。知識人の間で高く評価された理由がわかります。

🔹 米川 正夫(よねかわ まさお)
代表訳書:『復活』『クロイツェル・ソナタ』
昭和初期に活躍し、ロシア文学ブームを牽引した立役者。彼の訳は、「これぞ文豪」という名文調で、文章自体に風格があります。文学的香りを味わいたい人にはうってつけの訳者です。

🔹 原 卓也(はら たくや)
代表訳書:『アンナ・カレーニナ』(新潮文庫)
原氏の訳は、自然な日本語と文学的深みを兼ね備えた名訳として知られています。特に新潮文庫版は広く読まれており、「最初の一冊」として安心して手に取れる定番です。

同じ作品でも、翻訳者によってまるで別の物語のように響くのが、トルストイ読書の奥深さ。文語調の重厚さを楽しみたいなら中村白葉や米川正夫を、現代の感覚で自然に読みたいなら原卓也を選ぶのがおすすめです。
あなたの読むトルストイは、どんな「日本語の声」で語りかけてくるでしょうか?
翻訳というフィルターを通して読むからこそ、自分だけの“トルストイ体験”が見つかるかもしれません。
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