2025-06-22
古書と環境負荷 :書籍リユースの環境的意義
印刷された書籍は、一般的に製造から流通、廃棄に至るまで多くの資源を必要とし、環境に一定の負荷を与えます。紙の原料となる木材の伐採、印刷時に使用されるインクや水、電力に加えて、配送や保管に伴うエネルギー消費も発生します。1冊の新刊本が排出するCO₂量は、平均して約1kgと推定されています(環境省「カーボンフットプリント試算例」より)。
こうした状況の中で、すでに世に出た本を再利用する「古書市場」は、リユースを通じて環境負荷の軽減に貢献しています。特に、短期間で大量に廃棄されがちな実用書や雑誌類が再流通することで、焼却処分によって発生する二酸化炭素の排出を抑える効果があります。また、出版後に再評価された学術書や絶版本のように、複数の読者の手に渡りながら長く活用されることで、「知識の再資源化」が図られる点でも意義は大きいといえます。
欧州では、図書館や古書店、市民が協力して読み終えた書籍を地域で循環させる「ブックシェアリング」や「オープンブックラック」の活動が定着しつつあり、持続可能な文化的インフラの一環として評価されています。日本国内でも、大学図書館や公立図書館による除籍本の再利用や、イベントでの古書販売が地域の環境活動と結びつく事例が増えています。
さらに、古書の保存や再流通には、「文化財としての保存」という側面もあります。廃棄されれば失われてしまう文献や記録が、古書市場を通じて保全・再評価されることで、単なる消費物ではなく「持続的に価値を持つ物」としての書籍観を社会に定着させる契機にもなっています。
このように、古書の存在は単なる経済活動にとどまらず、環境と文化の両面で持続可能性と深く関わっているのです。

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